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ねぇもう嫌・・・

第6章 多目的室





「そんなに泣かないで。僕らがいるから。」


涙が止まらない私を見て、先生は慰めてくれた。


「管は何本かあげるからお家でやってみて?でも無理はしないで。最初からできる人はいませんから。」


先生はあくまでも優しい口調、いや、優しかった。


それだけに、息苦しかった。


先程の光景が何度もフラッシュバックする。


「導尿はトイレする時毎回やること。あともう一つあるんだけど、それはまた次回に詳しく説明しよう。」


私が何も言わないでいると、どんどんと先生と私の間で蟠(ワダカマ)りが膨らんでいく心地がした。


「次回はもう一度検査しようか。腎機能を診ておきたい。」


先生の決定は勿論厳しいものだけれど、その優しい言葉遣いがより残酷にさせていると思う。


ここにある私の気持ちを先生にも感じて欲しいと願うのは、わがままなことだろうか。



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