テキストサイズ

貴女は私のお人形

第6章 もし、二人、似ているなら



 こまやかな想いに乙愛を抱くあるじの指は、こまやかな愛撫で乙愛のめしべを恍惚とさせる。もう一つの陰核が体内の肉襞に潜んででもいたようだ、純は乙愛がひとしお頰を歪めるその一点を割り当てるとそこを小刻みに刺戟する。乙愛の意思はまるで無視してひとりでにたわむ下半身が、波打つ。純はおりふし指を浅瀬に抜いて、乳房の頂を吸い上げながら、子宮めがけて突き上げる。

 妖精でも憑いたのか。乙愛の肉体はまるで正常とは呼べない熱に浮かされて、優美で烈しい繊手に合わせてスプリングを軋ませていた。


「純様っ……」


 はしたない快楽は愛する人から得るものであってこそ煌く。羞恥は初めだけだった。こうも意味のあるものなのだと初めて知った。


 与えられるばかりで良いのか。乙愛からも純に触れたい。

 もどかしがる乙愛の口舌を純が塞いだ。







 ソファに四肢を投げ出した乙愛の目尻にキスをした。


 睦言を交わしている内にいつしか眠りにさらわれたらしい。

 重みの残った目蓋をこすって、純は床に膝をついて乙愛の身体に腕を回す。火照った湿気を帯びていた。乙愛のものか、それとも自分か。


 海を泳いだ指先に舌先を伸ばす。無色透明、無味の粘液は、極上に愛おしい余韻が染みついていた。


 もう少し眺めていたい気持ちを抑えて、乙愛の衣服を整えにかかる。下着をつけて、ドロワーズ。そしてあの得体の知れない女の作ったブラウスのボタンを閉じていると、ふっと、一つの思いが脳裏をよぎった。


 いけないことを、したくなる。



 ドクイチゴの洋服が肌に触れてもその質感を得られなくなるくらい、乙愛の全てを自分でいっぱいにしたい。

 彼女を、自分なしでは生きられなくなるほど、身も心も無茶苦茶に犯して縛りつけたい。



 乙愛が愛らしすぎるからだ。



「ん……、純様?」


 長い睫毛が白い目蓋に引き上げられると、とろんとした目が純に向いた。


「あっ、ソファ」

「良いから」


 純は乙愛の肩を抑える。


「乙愛は、ここにいて」


 愛らしいドールに微笑んで、純は乙愛の手を握った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ