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オオカミは淫らな仔羊に欲情す

第4章 急転直下


  他の子達が同調するようにケラケラと笑う声が
  聞こえてきた。

  握っていたドアノブを離し、
  私は背を向けて歩き始めた



  鼓動がどくどくと大きく鳴る。

  息が詰まる。

  動かす足が徐々に早くなっていて、
  つまづきそうになって足を止めた。


「馬鹿みたい……」


  友達だと……親友だと思っていたのは
  自分だけだった。


『私達は親友。ずっと絢の味方だよ』


  2人のその言葉を信じていたのに。

  ふっ ―― と、乾いた笑みが零れた。

  すると頬に暖かいものが伝う感覚がして、
  手をそこにやる

  と、涙が溢れていた。


「あ~……ほんと、何やってるんだろ」


  自嘲の笑みを浮かべる。


『―― おぉ、グッドタイミング、絢。そっちの用事は
 終わったかー? 俺もさっきここ着いたとこ』


  突然背後から肩を叩かれて弾けるように
  振り向くと、目を丸くしたあつしと目が合った。


「ワ、ワオ。どした?! なに泣いてんだよ?」

「あっくん……私もやだ……
 分かんないよ。私1人バカみたい」


  あつしの胸板を叩きながら叫んだ。

  悔しい、悲しい、苦しい……。

  色々な感情が心の中で渦巻いて、無茶苦茶だった。


「……やっぱお前、東京に行った方がいいよ」

「……」


  あつしが私の両肩を持ってそっと引き離した。


「行って、早いとこ元の自分取り戻してこい」

「……ありがと、あっくん」

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