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オオカミは淫らな仔羊に欲情す

第2章 ひとつの出逢い

  ―― ゴクッ ゴクッ ゴクッ

  ……ぷはぁぁ~っ。

  
  こうゆう時のお酒って意外とどんどん
  イケちゃうからふ・し・ぎ。
  
  
「ねーぇー、ヒデさぁん、おかわりー」

「絢ちゃん、今夜はかなり進んでるよ、大丈夫?」

「ん~……と、思う。1人で歩けるしー」  


  マスター・日向は苦笑しつつ、カウンター越しに
  絢音の差し出したカットグラス
  へ新たなバーボンを注いだ。
  
  すると、絢音の後方から男の声が ――、
  
  
「ヒデ、そのバーボン、オレにツケといて?」


  バランスのとれた体躯に細身のスーツ ――、

  周囲の視線を一身に集める研ぎ澄まされた美貌、

  称賛と感嘆・劣情を滲ませた歓声に包まれ、

  男は絢音の近くに立った。
  
  
「こんばんわ、隣、座っても?」

「どーぞぉ? 私の指定席やないしー」


  男は自分のドリンクを日向へオーダーし、
  1人分の席を空けて座った。
  
  そして、テーブルへ肩肘ついて、
  絢音の横顔をじぃーっと見つめる。
  
  絢音はしばらくその図々しい視線を平然と受け止めて
  いたが ――、それにもいい加減うんざりして。
  
  深い溜息をついたあと。
  
  
「つきなみな質問だけど、私の顔に何かついてます?」

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