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オオカミは淫らな仔羊に欲情す

第3章 導入部・その①


  ―― ココは、京都府内でも屈指の
  おバカ(ど底辺)高校と言われている、
  私立・壬生四条高校のグラウンド。
  
  文武両面に於いて、あまり熱心ではない生徒達の
  中にもスポーツに精を出す者はいて。
  
  今日は、となり町の府立高校の野球部を招いて、
  本校野球部との練習試合が行われていた。
  
  尚、府立校・本校共に3年生はこの試合をもって
  引退となる。
  
  
 ”カッキィ~~ン!!”


  バッター、3年・キャプテン、笙野裕
  (隆の弟)のフルスイングした
  バッドが実にイイ音をたてて白球をかっ飛ばした。

  そしてその白球は遥か彼方、
  グラウンドの外へと飛んでいった。

  相手チーム・ピッチャーの2年レジュラーは呆然。
  
  まさか、打たれるとは思ってもみなかったのだ。
  
  観衆が大歓声を送る中、裕は、意気揚々と
  ベースを回る。

  一方打球の方はグラウンド沿いの道へ落ちて、
  2・3度バウンドすると向かいの民家の
  壁へ当たって道へ逆戻りして転がった。

  そのボールを拾い上げたのは、高そうなスーツを
  着こなした青年・鮫島 竜二 ――。

  拾い上げたボールを手に、
  さて何処から飛んできたのか? と
  辺りを見回していると――、
 

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