テキストサイズ

こんな日は抱いて欲しい

第5章 真由子のセレナーデ♪


 「随分遠くに行くんだね」


 「だね」

 家から東京駅まで、快速で20分として……新幹線で博多って5時間くらい?
半日掛かりの距離って事だよね……めちゃくちゃ遠いじゃん!

 「……どうして……今なんだろ……何で今?
何でもっと早く……今のように…ならなかったの!!」

 「真由子……
それは、真由子が教えてくれたからだよ。
俺もちゃんと働いて、せめて普通のラインの男にならないと。
そうしないと、俺、本当に本物のダメンズになっちゃうじゃん。
少し遅かったけどさ………」

 『笑顔で言うな!
そんな格好良くキメんな!バーカ!』

 「そうだけど、そりゃあ、そうなんだけどさ………」

 
ああ……どうしょう………一気に悲しい感情がこみ上げてきて、胸が苦しい………

 「少しはダメンズから脱皮しただろ?」

 「……今の瑛太はダメンズじゃない!
誰かに頼って生きてないじゃん!」


 『格好なんてつけるな、真由子。
もう、空気で分かってんでしょ。
認めてあげればいいじゃん。
そんな風に変われた瑛太を。
ダメな恋に食い下がって、女の価値を落とすことない!
女は、引き際が大事……だ。
むしかえした未練に縛られてどーする!』

 「もっと早く、そうしなかった俺はバカだな‥‥」

 「ホント、バカだよ!」


 それでも、自然と涙が溢れた。
ハッとして、ハンカチで涙を拭うけど、止まらない。
ヤダ……いつもの真由子に戻らないと、気まずいじゃん……

ストーリーメニュー

TOPTOPへ