幸せの欠片
第3章 気分転換
仕事から帰って、最初にするのがメールの確認になった
それまでは、特にメールなんてする人はいなかったし
…彼女がいた時も、そこは優先事項に入っていなかった
それが何故か、今は着替えるより先にチェックしている自分がいる
メールの相手は、相葉さんだ
ただ、お疲れさまとか、一言程度の内容を
彼は必ず毎日寄越してくる
俺はそれに同じように返すだけ
それだけなのに、その “それだけ“ を今まで経験した事がないからか
画面のメール受信のランプを見るだけで、何となく嬉しくもあった
本当に不思議だ
学生の時も、彼女とも
メールなんか面倒だと思っていたのに
どうして相葉さんが相手だと、そう思わないのか
“友達“ なんて特に欲しいとも思ってなかったのに
こうした他愛ないやり取りすら面倒だと避けていたのに
メールを返してから、部屋着に着替えた直後
今度は着信を告げる音が狭い部屋に響き渡った
画面に表示された名前に、顔が強張る
「…はい」
だけど出ない訳には行かず、仕方なく通話をタップして、それを耳に当てた
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