幸せの欠片
第6章 戸惑いと優しさ
自分勝手にも程がある
相葉さんだって、驚き過ぎて固まってる
だけど自分でも何故こんな事をしてしまったのか分からない
…何かに縋りたいと思った衝動が、相葉さんへのキスだった
触れただけのそれが離れて初めて、自分のしでかした事に気が付いて動揺した
「か…、かず?」
「や、あの…、これは違くて…」
確かにキスをする前、 “ごめんなさい“ と謝ったけど
多分その時はしがみつくとかその位のつもりだった筈
「…ごめん、気持ち悪いよね」
正直、自分には嫌悪感はない
だけど普通に考えたら、俺は凄く最低な事をしてしまった
相葉さんは俺を見つめたまま何も言葉を発しない
ああ、きっと怒りで言葉も出ないんだと悟った
「ホントごめん。…帰る」
言い訳なんて出来ないし、してしまった事は取り返せない
相葉さんの顔を見る事が出来ずに、俺は勢いに任せて車から飛び降りた
とにかく相葉さんから離れないと
自分が悪いくせに、軽蔑された目で見られたくないなんて思う自分が情けない
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