幸せの欠片
第7章 “好き“ のキス
クスクスと笑ってキッチンから戻った相葉さんの手には2つのカップが握られていて
部屋にコーヒーの良い香りが広がった
「かずはブラックでいいんだよね?」
テーブルに置いて、相葉さんがにっこりと笑う
「え、うん、そう…」
あれ?
俺、言った事あった?
そんな話、してない筈なんだけど
「どうしたの?不思議そうな顔して」
「え、だって…何で知ってるの?」
俺の問いは、至極真っ当だと思うのに、相葉さんは何処か楽しそうに笑いだした
「だっていつも、ブラックしか飲まないでしょ?見てれば分かるよ」
「そっか、…そうだよね」
そうは答えたけど、俺は多分気付かないと思う
だって現に相葉さんの好み、知らないし
人の物に、全く興味を持たないし
他人に気遣いも出来ない
当たり前にそれをやってのける相葉さんを純粋に凄いと感じた
もしかしたら、相葉さんの気遣いが「普通」なのかも知れないけど
比べる基準がないからそれは分からない
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