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自分であるために

第6章 ベストカップル賞

         ***

「……着替え終わったよ」

 そう言って脱衣所から出てきた薫はまるでロリィタを着るために生まれてきたかのような、お洋服が薫のために作られたかのようだった。

「うん! 似合う似合う! じゃ、ここ座って」

 薫は頷くとドレッサーの前の椅子に腰掛けた。金髪ロングのウイッグをつけて、メイクを施していく。極め細やかなベースメイク。パウダーには極薄いラメが肌の白さを際立たせる。ピンクのふわっとチーク。14.5ミリのピンクのカラーコンタクト。ドーリーアイの漆黒マスカラ二度塗り。アイシャドウは敢えての赤色。仕上げは、ぷるんっ、つるっとしたピンクリップ。

「さぁ目を開けて」

「凄い!! 京、メイクアップアーティストさんになれるよ!」

 目の前の薫は、まるで本物の西洋人形のようで、どこからどう見ても女の子だ。

「違うよ。元の素材がいいの!」

 無理して女の子になるように研究したことは無駄ではなかった。だって今、こうして役立っているのだから。

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