あと3秒だけ。
第13章 貴久side
だけどそれと同時に
俺は少し後ろめたさがあった。
そう、俺は『既婚者』だということを
彼女にまだ言っていない。
有紗と仲のいい森野彩には
歓迎会の時に聞かれて
つい既婚者であることを話したが、
有紗には直接言っていない。
もしかしたら、森野彩から既に聞いているかもしれないが、
『既婚者』と知った上で俺との関係を持ってくれたのか。
それとも、知らないかもしれない。
もし知らなかったら、
知った瞬間、嫌われてしまうかもしれない。
失望されるかもしれない。
そう思うと不安で、
俺はなかなか有紗に言えずにいた。
横に寝ている有紗を起こさないように
ソーっとベッドから出て
とりあえず真剣に考えようとシャワーに入った。