あと3秒だけ。
第13章 貴久side
だけど、彼女は
そんなダメダメな俺でも受け入れてくれて
ましてや、『俺のことを欲しい』と言った。
俺も有紗が心から欲しい。
大切な人だからこそ喜ばせたい、
その一心で今日は夜の海へ連れていった。
夜風になびく有紗の髪から
ふわっと甘いシャンプーの香りがした。
俺はこの匂いがたまらなく好き。
なんか今日は帰りたくないな……
『・・・・・・たくない。』
『えっ?』
『今日は帰りたくない。』
彼女と心が通じたと思った。
恥ずかしそうに照れながら、
でも自分の気持ちに正直な有紗が
愛おしくて。