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第1章 序章


#N




自分をことばで表すなら


暗い。

人付き合いが下手。

出不精。

貧弱。


まぁこんなところか。




友達だって決して多くない。

いや、見栄を張った。

多くないのではない。少ない。

いないに等しい。←






しかしそもそも、だ。

転勤族の親のせいで、小学生のときから

なんども転校を繰り返してきたから

まぁ、友達がいないしょうがない。←





この俺の、諸悪の根元は、

小学校時代のくだらないいじめ。

からの中学進学で別の学区への転校。




その転校先が、ヤンキー大集合!みたいな

まぁ荒れた学校で(笑)





大人しく大人しーく、

目立たないように目立たないよーに、

トラブルを回避しまくって過ごした三年。

その長年の積み重ねが

今の俺を構築したのだ(ドヤ)








そしてずるずると

青春とよべる日々は訪れないままに

今日めでたく卒業を迎えた。




ひとりでいることに慣れてしまった俺は、

もう寂しいとか、悲しいとか、

離れたくない!とか。

そんな卒業生らしい感情が

沸き上がってくることはない。






しかし、だ。


あっちでは

ヤンキー君が女子と写真を撮って盛り上がり


そっちでは

イケメン君の第2ボタン争奪戦。


全くのスルーな俺。←






こんなことなら

もう少し頑張って人と(特に女の子と)

話しておけばよかったかなぁとも思う。





横を通りすぎるとき、

盛大にチッと舌打ちをしてやった(心のなかで)










通いなれた校舎をあとにし、校門をくぐると、

もう一度うしろを振り返った。



校庭の桜をみると、

今か今かと開花を待ちわびる蕾が

あちこちに膨らんでいる。






柄にもなくペコッと桜に向かって一礼。








新しい生活がすぐそこまできている。

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