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第10章 さらさら
N「相葉くん!待ってってば!」
4階まで駆けあがったところで、
ようやく相葉くんの腕を捕らえた。
N「・・・っはぁっ、ハァっ・・」
やっと、追い付いた・・・。
相葉くんの腕を掴んだまま、
とりあえず乱れた呼吸を整える。
A「・・・。」
相葉くんは俺に掴まれた腕をみながら、
はぁっ、とため息をつく。
ちょっと話そう、と低めのトーンで言うと、
鍵をあけて部屋にいれてくれた。
おれがパタン、と後ろ手にドアを閉めると、
相葉くんは机に腰かけて、
おもむろに話し始めた。
A「・・・にのちゃんさ、健センパイのこと好きなの?」
N「は?」
A「前に話してた好きな人って、誰?」
相葉くんは俯き気味にそういったあと、
真っ直ぐ俺を見つめてきた。
N「誰って・・・。」
A「センパイ?」
N「・・・違う。」
A「俺には、言えない?」
N「・・・。」
言えるはずないじゃん。
言ったら、友達ですらいられなくなる。
なにも言わない俺にしびれを切らし、
ふぅ、と相葉くんが息を吐いて立ち上がった。
まっすぐ正面から俺を見つめるその顔は
少し眉を寄せて怒っているようにもみえる。
こんな相葉くんみたことなくて少し戸惑う。
A「にのちゃん。」
相葉くんの両手が、優しく俺の頬を包む。
どうしてだろう。
その相葉くんの顔が辛そうに歪んでいる。
A「・・・ごめん。」
なにが?という言葉を発する前に
相葉くんの唇が、俺の口を塞いだ。