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痴漢電車

第3章 身勝手な言い分



女子「先生、おはようございます」

亘「おはよう」

千佳「…」


校門に立ち普段通り笑顔で挨拶をする亘
他の女子同様、千佳も昨日までは
亘の笑顔に癒されていた


千佳「…」

亘「寺田、おはよう」

千佳「おはよう…ございます…」

亘「今日の授業では居眠りしないように
気をつけろよ」

千佳「…わかってます…」

亘「…」


逃げるようにその場から走り去った千佳
本当は色々聞きたい事もあるし
文句だって言いたい
だけど…


千佳「…」


挨拶はおろか亘の顔を見るのが精一杯で
そんな状況で話しをするのは
現状、無理だった


亘「じゃあまず教科書の…」

千佳「…」


だけどこんな日に限って一限目から古文
の授業がありサボるわけにいかず
顔を合わすはめに…


千佳「…」

亘「じゃあこのページを読んでもらおう
かな、寺田」

千佳「…」

恭子「千佳、千佳、呼ばれてるよ」

千佳「えっ、何?」

亘「もういい、田中、代わりに君が読ん
でくれ」

田中「はいっ、えっと…」

千佳「…」


今朝の事、必死に考えないようにしたが
顔を見るだけで声を聞くだけで
色々思い出してしまい
身が入らず…


千佳「…っ」


そこにいるのが精一杯だった…


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