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シロタさんとクロノさん

第1章 白と黒の来訪者

岩崎家の朝は早いです。

「おばあちゃん、おはようございます」

私は仏壇の前で手を合わせました。

「今日も暑くなりそうです。待っててくださいね、お水持ってきますから」

カーテンを開けながらそう言うと、

ピンポーン♪

珍しく玄関のチャイムが鳴りました。

「こんな朝早くから誰だろう…」

玄関を開けると、二人の男性が立っていました。
見たことがない方たちです。一人は白髪ですが外人さん?

「こんばんは~」

「?」

「ばか、今は朝だ」

白髪に白いスーツを着た男性がボケて、黒髪に黒いスーツを着た男性がツッコミました。

私が目をぱちくりしていると、白髪に白いスーツを着た男性がにっこり笑いました。

「君、岩崎かのんちゃんだよね?」

「…はい、そうですが、どちら様ですか?」

なぜ私の名前を知ってるんだろう。

「オレたち、今日からここに住むからよろしくね」

「…えっ?」

「オレはシロタ。で、この無愛想な男はクロノ」

白髪に白いスーツを着た人がシロタさんで、黒髪に黒いスーツを着た人がクロノさんだそうです。

「わかりやすくていいでしょ」

シロタさんがにっこり笑いました。
よく見るとイケメンさんで、一瞬ドキッとしてしまいました。

「あの…ここに住むってどういうことですか?」

「あんたの母親からの依頼だ」

クロノさんがムスッとしながら答えました。
クロノさんはちょっと怖いです。

「私の母から?」

「えーと、かのんちゃんはずっとおばあちゃんと住んでたんだよね?」

「はい、母がアメリカに在住しているため、私はずっと祖母と二人暮らしで…」

「でも、おばあちゃんは一ヶ月前に病気で死んでしまったんだよね」

「…っ!」

悲しくなって俯くと、私の頭をシロタさんがそっと撫でてくれました。
頭のてっぺんがヒヤリとして気持ちいいです。

「だからね、オレたちはかのんちゃんの力になりたくてここに来たの」

「私の…力に?」

「まだ16歳の君を、こんな広い家に一人にしちゃおけないからね」

「世の中物騒だしな」

「…」

私は二人の顔を改めて見ました。
本当に母の知り合いでしょうか?

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