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幸せの欠片 *超* 番外編

第6章 奇跡って信じる?




初めてここに来たのは、かずが一緒だった

隣にいる人のお墓を参る、なんてあり得ない状況に

…正直助かったんだっけ



行かなきゃ、と思いながらも1度も行く勇気が持てなくて


かずの死を受け入れてない状態で、こんな所に1人で来てたら

間違いなくおかしくなってる、と自覚してたから





かずと、顔は知らないかずのお母さんの為に買った花を手向けた


時期のせいか、周りには誰もいなくて静かな風の音だけが聞こえている


これなら、俺もゆっくり話せるかな?

かずに出会った時からの事


これを聞いたらどう思うだろう

顔を見たいけれど、それは叶わないから

想像してみようか


怒った顔

笑った顔

困った顔

…泣いた顔



どんな顔も、鮮やかに思い出せるよ


照れて真っ赤になった顔も

俺に全てを委ねて安心しきった顔も



不思議だね

何だか今日はやたら落ち着いてる

悲しいとか、寂しいとか

嬉しいとか


そんな感情がまるでないんだ



今あるのは


やっぱりかずの姿がなくても


……愛しい、と言う気持ちだけ

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