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Everyday Love

第8章 少しだけ片想い【白黄】




「ね~ジャスミンさぁ~ん!聞いてくださいよ~!!」

パトロールから帰ってきたかと思えば挨拶や報告もなく真っ先にデカルームの椅子に座り、雑誌を見ながらお茶を飲み休憩していたジャスミンに話しかけたテツ。
椅子ごと抱き込みジャスミンの白い首筋に顔をうずめた。
せめて他所でやってくれ、とその場にいたホージーとセンとドギーは心の中で嘆いた。

「さっきですね?急に目の前に…」
「テツ。」

テツにされるがままだったジャスミンがいつもより低い声で名を呼んだ、「はいっ!」と返事をしたテツだが声が裏返ってる。

「パトロールは?どうだったの?」
「え、特に異常は…」
「それはボスに言って。」

一切雑誌から目を離さず冷たく言い放ったジャスミン。
流石にテツも堪えたか…と周りが心配そうにテツを見たが…

「はい!すいませんでした!ボス!特に異常はありませんでした!!」
「あ、お、おう…それはよかった。」
「はい!ね、ね、ジャスミンさ~ん!」

キラキラと目を輝かせてジャスミンに返事をし、報告を済ませたテツ。
ドギーも圧倒されてしまいうまい返しは出来なかった。
一方テツは性懲りもなくジャスミンにまた絡んでいる。

「それでね、それでね!」
「…」

オール無視されているが。

「なんだあれは…」

コンピューターで作業していたホージーは初めて見る世界に絶句した。

「まるで飼い主に構ってほしい犬だね…」

ホージーと同じくコンピューターの仕事を片付けていたセンも苦笑する。
何となくだが、バンやウメコがいなくてよかったとドギーは思った。ちなみに2人は非番だ。

あの2人は何をするかわからないから。

「ちょっとジャスミンさん聞いてますぅ!?」

今頃!?とホージー・セン・ドギーは心の中で突っ込んだ。

「聞いてないざんす~」
「あ!聞いてますね!」

大好きなお姉様に返答を貰えてよほど嬉しかったのかテツはニコニコしながら話を続けた。

「いやぁ、ジャスミンも上手いねー」
「何が?」

感心するセンにホージーは疑問を投げかけた。

「こうだよ、こう」

センは掌を上に向けるとそのままゆらゆらと揺らした。

つまり、「ジャスミンはテツを掌で転がすのがうまい」と言いたいのだ。

「あぁ、確かにそうだな。」

意味を理解したホージーが賛同する。


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