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Everyday Love

第2章 やさしさに包まれたなら【白黄】



ジャスミンはデカルームに1人でいた。
バンとホージーとウメコはパトロールへ行き、センちゃんは非番、スワンは鉄工所に籠りっぱなし。
ドギーは流石にデカルームを開けっ放しではないが本部から仕事が入ったのか出たり入ったりと忙しそうだ。
指定の席に座り、上半身を机に預ける。
実はジャスミンは本当ならばパトロールに行く予定だったのだがウメコに変わってもらったのだ。
月に1度の憂鬱日が来てしまっていたら。
お腹と背中を重い石で押し潰されているような。とにかく不快でたまらない。
ジャスミンはもともと重い方ではない。ちゃんと日記をつけ周期も把握している。
しかし、今月は少々遅れてたらしく強烈な感覚がジャスミンを襲った。

「ただいま戻りましたぁ!…って誰もいない!?」
「あら、テツおかえり」
「ジャスミンさん大丈夫ですか!?」

本部に呼び出されていたテツが帰ってきた。
珍しく閑散としたデカルームといつも背筋を伸ばしシャキッとしているジャスミンが机にへばり弱々しくこちらにピースしながら出迎える姿にテツはとても驚いた。

「んー?大丈夫じゃないかも…?」

冗談半分で言うジャスミンだがいつもの余裕は感じられない。

「ど、どこが悪いんですか?痛いとか?」
「んー…お腹とぉ…腰?」

ジャスミンは少し言うのに躊躇ったがテツのことだから純粋に腹と腰が痛いだけと受け取ってくれるだろうと思い切って言った。

「えっ、あっ、そうなんですか…す、すみません…あのっ、」

しかしジャスミンの読みは外れた。
目を泳ぎ、顔は真っ赤、右往左往と辺りを歩きわかりやすく動揺を始めたテツ。
ジャスミンは心の中で「あじゃぱー…」と呟いた。

気まずい。気まずすぎる。
そりゃそうか。いくらテツでもそこまでダイレクトに言われればわかるか。バンじゃないんだから。

こっちまで恥ずかしくなりジャスミンは机に顔を突っ伏した。
まだ足音が聞こえるからウロウロしているのだろう。
しかし、"奴"は空気を読まず再度波のように不快感を連れてくる。
今回の波は大波で激しかった。

「ううっ…」

思わず呻き声が出てしまいジャスミンは咄嗟に口を抑えた。


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