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僕らの歪な経験値

第9章 続ける

和也 side







しかし、人間とは不思議なもので、しばらくたつと何やら罪悪感が生まれてきた。



バカみたいだろ。



誰かが言ってた。



嫌なことは忘れ、いい思い出が残る、と。



アホと過ごした数カ月間は俺は楽しかったらしい。



バカの笑顔が、バカさ加減が、笑い方が、それに救われていた自分に気づいたんだ。



だからって許すってワケじゃないけど。



ただ、俺はいつまでもこうして冷戦状態じゃいられないって思っていて。



大野さんも櫻井王子もいつまでも気ぃ遣わせちゃ悪いなって思っていて。



だから、普通にしようと思ったんだ。



4人でご飯食べ、普通に話してやった。



みんな、最初は驚いてたけど徐々に前のように戻ってった。



アホは気まずそうにしていたがだんだんと前のような笑顔を俺の前でも見せるようになった。



ニカっと笑うと白い歯を見せる。



爆笑する時は前かがみになる。



その様子でやっと前に戻れた。



そう思った。








そう思っていた。











雅「今日うちでゲームしない?」



休み時間、唐突に声をかけられた。



まだ2人きりに抵抗があったので断ろうと思ったが、最近発売されたゲームのタイトルと聞いて心が揺れた。



そのゲームは数量限定で発売され、その生産数の少なさに、今ではプレミアがついていた。



もちろん俺も手に入れてなかった。







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