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Hello

第19章 kiss me *バンビズ


Sho


真っ赤になって固まってる潤を前に、俺は悠々と酒を飲む。

「……わかんねぇってば」

蚊の鳴くような声で、抗議してくるが、

「嘘つけ。分かるだろ」

笑いをこらえながら、あっさりと、切り捨ててやった。



やっぱり日本は落ち着く。

俺は平昌から帰ってきて、いの一番に潤の家の扉を叩いた。

俺の好物を作って、お帰りなさいと、笑って迎えてくれた可愛い恋人。

土産話で盛り上がり、心と胃袋が、あったまったところで、最後に出てきたのは。

久しぶりに作ったんだ、という手作りチョコレートだった。

少しビターな俺好みの生チョコ。
さすがだよ、潤。
イベントごとまでおさえてくるなんて完璧。

ほんじゃ、御礼をしなくちゃね。

ということで。
俺の真意が分かるかな、と謎かけの真っ最中なのだが。



「これ以外何があんだよ……」

ちっさなピックで生チョコをさし、俺の口元にもってくるから、俺は再び首をふった。

「違う」

「もー……勘弁してよ」

「分かんない?」

「降参」

俺は我慢できなくなり、ケタケタ笑ってしまった。
真面目に考えすぎなんだよ。


生チョコをぽいっと口にほおりこむ。
うん、甘さと苦さがちょうどいい。

すかさず潤に手を伸ばして、後頭部をおさえつけ。驚いた顔をしている潤の唇に、俺のそれを重ねた。

「……んうっ」

少し空いた口の隙間から、舌で半分溶けたチョコを押し込んでやる。

ピチャッと音がして、鼻をむせかえるような甘い香りが通り抜けた。

「………ん」

潤が甘い声をあげ、俺の舌とチョコを受け取った。


ゆっくり唇を離して、ペロッと自分の唇を舐める。
うるんだ目をした潤は、真っ赤な顔をして、軽くにらんできた。

「……これが正解?」

「そ」


俺の要求は、『食べさせて』。
そんなもん、口で、に、決まってんだろが。

にんまり笑って、手にしてたピックで再び生チョコをつきさし、皿を潤に押し出した。

「今のお手本な。はい」

俺は、軽く口をあけて、わざと目を閉じる。
潤が、おずおずと動く気配がした。

可愛い可愛い俺の恋人。
今日はたくさん可愛がってやるよ?

……やがて、甘く柔らかい唇が、俺のに重なった。

happy valentine...


              
                  

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