Hello
第35章 大野さんと僕ら
真顔のリーダーに、ドキリとして、口をつぐんだ。
一年に何回かみる、真剣モードのリーダー。
普段が普段なだけに、この顔をされると、俺らメンバーは誰も何も言えなくなるのだ。
俺が黙っていると、リーダーは、穏やかに続けた。
「……松潤が頑張ってくれてることはみんな知ってる。でも、休むことも大事だし。頼ることも大事だし」
「……」
「甘えることも大事だよ」
言って、また、ほにゃ……と笑った。
何も見てないようで、見ているリーダー。
そして、その口から発せられる意見は、どれもこれも的を得ていて。
俺は唇をかんで、その優しい瞳を見上げた。
「これ、リーダー命令な。あと15分。目をつぶってろ」
「…………うん。ありがと」
「心配しなくても、ちゃんと起こすから」
「ふふっ……うん、わかった」
気づけば、俺の体には、リーダーが着ていたと思われるフリースの上着がかけられていて。
心も体も暖かい。
俺は、促されるままに目を閉じた。
頭はいまだにぼんやりしていたが、この心地いい空気感に、体を委ねて意識を沈めた。
……起きたら、また頑張るからね。
……おう。頑張れ。
fin.
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