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好きにしていいよ

第3章 なんで俺なの?






俺と黒谷さんが共演を果たしたDVDは飛ぶように売れ、

ゲイビデオ史上初のディリーチャートtop10内に入り、異例の快挙を成し遂げたらしい。




「よくやった!悠!!」

「別に、嬉しくねえし」

「あはん!やけにツンデレだな」




両手を叩いて喜ぶマネージャーさんに、溜め息が零れ落ちる。

…笑いごとじゃねえつっーの

あの日、

それは撮影が無事終了した日のことだ。

――――
――




『大丈夫…?』

『はい…なんとか…』




優しく手を差し伸ばしてくれる黒谷さんに、紳士的だなぁなんて思ったりして。

ドキリとするほど情事後の黒谷さんはやけに色ぽっくて、無意識のうちに見惚れてたと思う。




『ひゃ…』




ふわりとシーツに包まれた身体は、黒谷さんによって軽々と持ちあげられてしまう。
所詮、お姫様抱っこてやつだ。




『降ろしてください…恥ずかしいです…』

『ダメ、今は俺の言うことを聞いて』

『…はい』




ありえないくらい心拍数があがる。

恥ずかしさに、黒谷さんの顔が見れない。
華奢だとはいえ、俺は男だし身長だって平均並みにある。




『重くないですか…俺だったら…もう平気ですから…』

『全然大丈夫じゃないでしょ。俺がそうしたいんだから、そうさせて?』

『でも…』

『ここは素直に、甘えてなさい』




耳許にストンと落ちるみたいに、黒谷さんの低音ボイスが脳内に響きわたる。

声まで格好良いなんて反則だ…

今まで共演した男優に、こんな気持ち抱いたことなんてなかった。

ヤバいくらいに鳴り止まない心臓の音。




どうしよう…
俺の顔…きっと真っ赤だ…





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