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心の隙間に…「君を好きにならない」スピンオフ

第2章 マグカップ





コンビニに到着し
俺たちは
ゴミ箱の前に立つと

どちらともなく
疑問がわき出てきた


「これ、捨てていいのかな…」

「ですよね。
家庭ゴミですしね…」

「だよな…」

「じゃ、俺
ちょっと行ってきます」

「え?」

「翔輝さんは
ココでまってて下さい」

「お、おい」

コータは俺を置き去りにしたまま
マグカップを手に
店内に入っていった

外から見てると
何やらアルバイトの子に
交渉してるみたいだ


しばらくすると
アルバイトの子に
マグカップを手渡すと
俺のところに戻ってきて
コータは
Vサインを見せて笑った


「どうした?」


「別れた彼女のマグカップで
家にあると悲しいから
捨てたいんだけど
外に捨てるとダメみたいだから
店のゴミと一緒に捨てて欲しいって
言ってきました(笑)」


「えぇ?!」


「さ、他のコンビニ行って
買い出しして
お笑い見ないと!
朝になっちゃいますよ!

ま、朝になっても
俺はいいですけど」


終始こんな調子で
コータといると
向井さんのことを
忘れてる時間が多くなるから不思議だ


あんなに
見れば泣いていた
マグカップとのさよならも
なんだか
笑い話になってしまう


俺は


どんどん
コータの調子に巻き込まれながら

その巻き込まれてる自分に

心地良さを
感じていた

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