
好きにさせて
第8章 恋人(仮)
「茜…」
甘く名前を呼ぶと
茜は
顔だけ振り向き
潤んだ目で俺を見つめた
「して欲しいこと…ないか?」
茜が
されたいことを
してやりたい
男に抱かれる
いうだけやのうて
「されたいと思うてたこと
ないか?
なんでもしてやるから」
その瞬間
茜は泣きそうな目をしたけど
クッと堪えたようにして
笑みを見せ
「そんなこと、言えない」
と、強がった
どこまでも
どこまでも
甘えない茜
「ほな、俺がしたいことするな」
「何するの?」
「教えへんけど…」
「うん」
「茜を宝物のように
抱きたい」
そう言うと
茜はまた
少し目を潤ませて
俺に抱きついた
もう
それからの2人に
ほとんど会話はなかった
どちらともなく
熱い舌を何度も絡ませ
脳が溶けそうになると
俺は
茜をうつ伏せにさせて
背中や脇腹を
舐めまわした
茜は
シーツをにぎりしめたまま
声を殺し
時々身体をヒクつかせながら
その綺麗な身体で
精一杯
俺を感じてくれているようやった
