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好きにさせて

第3章 出張


「それも・・あるけど」



「けど?」



「平田君の前では隠してたし」



「いつの話や(笑)」



「ちょっと
照れ臭かったし…」



「可愛いらしいな」



「…えっ…」



「照れてんの見られんように
いつも強がってたけど
ちょっと恥ずかしそうにしてんの
昔から可愛らしかったわ」



「やだ…どうしたの?」


こないだ
言わずに後悔したからな

今日は
素直に言うただけや


ほんまは
もっと言いたいこと
あんねんけどな



「思うてること言うただけや。

なぁ・・茜」



「・・・なに?」



「あの約束・・

まだ終わってなかったよなぁ」


中三の時にした・・あの約束


「・・・・」


答えへんいうことは
茜も忘れてないってことや


「なんとなしに
会わんなってしもてたけど
終わりにしよかいう話は
したことなかったはずや」



「・・・うん」



「ほな、まだ続いてんねんな」



「・・・」



「茜」



「ん?」



「深い意味はないねん。
昔みたいに名前で
呼んでもらいたなっただけやし」



「・・・うん」



「今度一緒に
飯、食いに行かへんか?」



「・・・うん」



恋人も結婚も
しばらく考えられないという茜が
俺との約束を覚えていて
飯を食いに行く約束をしてくれた


あの約束が
終わってないという言葉に
同意はしてくれへんかったし
名前を呼んでもらうことは
できんかったけど


今日の俺は


もうそれで十分やった

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