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「社長さんのお口に合うかどうか……」


きゅうりとワカメの酢の物のお通しを
ビールを口にしている本條さんの
目の前にそっと置いた。


決して嫌味ではない。


【小料理屋 のりこ】の屋号は名ばかりで
料理をこしらえていたのは
先日一周忌を終えたばかりの夫だから。


「常に豪勢な食事を頂いているわけでは
ありませんよ。頂きますね」


箸遣いが綺麗で繊細な印象を受けた。


きっと……あっち系も繊細なんだろうな。