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桜花楼の恋

第13章 恋乱舞い

玉「俺だって分かってる、それが嫌なわけじゃないんだけど」

横「前にも言ったが、いつかは会える自分の伴侶となる相手に」

玉「いつ?」

横「それは俺にも分からない、でも焦る事はないんじゃない?フッ」

玉「別に、そんなんじゃ」

横「じゃなに?」

玉「宮田も同じことを俺に言った」

横「うん」

玉「でも」

横「んっ?」

玉「寂しいんだもん」

横「‥‥っ」

玉「わただってミツとガヤの事ばかりで」

横「それは」

玉「俺のこと考えてくれたことある?」



あるよ、当たり前でしょ。



玉「あの2人が上手く行って欲しいって気持ちは俺もみんなと同じだけど」



ふっ、なる程そういう事か周りの連中の思いが強くなればなるほど。

自分だけ取り残されて行くような、そんな気持ちになってしまい。

これも、知らなかった世界を見知ってしまった影響なのかもしれないな。

今まで、なんにも気にせずにいた事が気になったりするのは。



玉「ねぇ、して」



裕太は裕太で複雑な思いでいたんだろう、大人への階段…か‥

中途半端に、心だけが先へ行き足掻いているってわけ。



玉「お願い、わた」



誰かと触れ合っていなければ不安で堪らず、だけどその相手に俺を選んだのは何故?

ふと、それが知りたくなる。

たとえ血は繋がっていなくても、こいつが藩主の子である事に変わりはないし。



玉「ねぇってば聞いてる」



本来なら、越えてはいけない御法度でもあるんだ。



横「したら寝る?」

玉「うん、ニコッ」

横「絶対だよ」

玉「わた大好き、んふふ」



その好きは、どういう意味の好きなんだよ?



横「なら眼をつぶって」



そう心で問いかけながら俺は、チュッ!



玉「んっ」



裕太の唇に、そっと自分のを合わせた。

そして、これが俺たち2人の秘密の関係の始まりとなってしまったんだ。

太輔にさえ黙ったままの…




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