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桜花楼の恋

第19章 優しさと温もり

・二階堂side

今頃、ミツは遊郭街を出て河合の若旦那の店へ着いている頃なんだろうな。

ごめん俺、出迎えもせずに。

でも、どんな顔をして会ったらいいか分からなくてさ

ポチャン!

河原で座り込み石を投げ出るのは溜め息ばかり、とそのとき。



亀「なにをしているんだ?こんなところで」



かっ、加賀の若君!



亀「約束、覚えている?」

ニ「う、うん」

亀「だったらヘコんでいる暇ないんじゃない ニコッ」

ニ「でも親父の石頭ちっとも分かってくれなくて」

亀「で?」

ニ「えっ」

亀「それがどうした?」

ニ「なっ」

亀「当たり前じゃん親が子を心配するのは フッ」

ニ「そっ、そりゃ」

亀「いくつになっても親は親、子は子だろ?ニコッ」

ニ「じゃ諦めろとでも」

亀「そうは言ってない一緒に行くよ尾張、フッ」

ニ「‥‥っ」

亀「俺が連れてってやる」



どうやって?



ニ「なんでそんな自信ありげに言えるの」

亀「別に、ないよ自信なんて」

ニ「けどミツのことも」

亀「あれは」

ニ「‥‥‥」

亀「実は俺、加賀へ戻ったとき嫁を貰ったんだ」



すると、驚くような事を口にし心にズキンとトゲが突き刺さる。



亀「ごめんな、二階堂」

ニ「なに…が‥クッ」

亀「俺、お前の気持ち知っている」

ニ「えっ」

亀「だけど男色じゃない自分は応えてやる事ができない」



分かっているって、そんなこと。



亀「しかし何でかな可愛くて仕方がないんだ ニコッ」

ニ「へっ?」

亀「弟とは違うもっと特別な、フッ」



とっ、特別?



亀「どうしてだろうね」

ニ「それ…って」

亀「大好きだぜ二階堂」

ニ「ぁ…‥」

亀「ニコッ」



その言葉だけでいい、クッ




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