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桜花楼の恋

第6章 兄弟の絆

旦那「どうした?」

北「この」

旦那「おぉ、先様はお前のお得意客になりたいと希望されておってな、フッ」

北「はっ?」

旦那「なにぶん若様があのような事を言われたものだから待って頂いている中でも一番に時がくれば買って頂く約束をしている」



だから何も心配する必要はないとでも言いたいわけ。

ふっ、ただ相手が藤ヶ谷から横尾って奴になるだけで俺にはなんの意味もないじゃん。

つまり、7日目にはこいつに抱かれ後は次から次へと。

この帳面に記されている奴と寝て、ゆくゆくは太夫っていう寸法だろ?フッ

変わらないわ、複数の男に抱かれ続けなければならない男娼である事に。

結局は、藤ヶ谷もただの通りすがりだったってわけか。



藤「俺は本気でお前を自分に惚れさせるつもりでいるから覚悟しとけよ、ニコッ」



嘯きやがって、クッ

それから、部屋に戻ると風呂を済ませ俺は布団の中へと潜り込む。

今日は隣も静かだし、ここんところあまり眠れていなかったから少しでも早く寝ようと。

が、そのときだった。



千「宏光、起きてる?」



千賀、どうしたんで?こんな時間に。



千「ちょっと用があるんだけど入っていいかな?」

北「あぁ、構わないぜ」



が、一緒に部屋の中へ入って来たのは。

二階堂!?



千「どーしても話しがしたいってニカが言うからさ」

北「なに?」

ニ「2人っきりで、それが俺の希望だったはず」

千「分かっている本当に何もしないんだよな?」

ニ「約束したろ?しない」

千「じゃ」



ちょ待て、おい千賀!

ちっ、行っちまった。一体どういうつもりで?こいつは俺を狙っているんだぞ。

しかし流れる沈黙、いつもの二階堂じゃない。

そう思っていると…



ニ「俺はガヤと約束をした」

北「会ったのか藤ヶ谷に、いつ?」

ニ「今日、町中でバッタリいろいろ話しもしたよ」

北「なんの?」

ニ「これ」

北「んっ?」

ニ「読んで返事を下さい」

北「はっ?」



両手で何かの文書が書かれていると思われる紙を差し出しながら。

ペコンと頭を下げる姿に、俺の眼は点になってしまう。




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