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桜花楼の恋

第1章 始めの一歩

トッツーと初めて会った日、その背中からちょこんと顔を覗かせていた良亮。



五「こっちへおいで、ニコッ」



呼ぶと、嬉しそうに傍へ寄って来て。



五「いくつ?」

橋「10歳、ニコッ」

五「‥‥っ」



こいつも5年経てば男に身体を売るのか、そう思ったら俺は堪らなくなってしまってよ。



橋「ねぇ本当に僕の初だしのときは、ごっちが買ってくれるの?」

五「そう約束したじゃん」

橋「良かった、フフッ」



助けてやりたい、その前に今の俺は郁人の気持ちがよく分かる。

この笑顔、なんとしてでも護ってやりたいと思っている自分がいるから。

でも、どうやったら?



番頭「良亮ですか?店だし前ですからね身請けは出来ませんよ」



試しに聞いてみると返って来た言葉がこれだ、だとすれば…



塚「初だしのとき自分が買って即身請け?そんなの上手く行くのかなぁ」

五「じゃ他にどうしろって言うんだよ」

塚「5年って長いし」

五「‥‥っ」



分かっているって塚ちゃん、それでも俺はあいつ良亮をあそこから救い出してやりたいんだ。

どんな手を使ってでも…

誰もが皆、そこでの愛に溺れてく“遊郭”それは心惑わす花園。

本来なら、足を踏み入れない方がいい危険な場所なのかもしれない。

その誘惑の中へは━




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