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僕ら× 1st.

第5章 伊織の婚約者 --Shu

「…なぁ、アル。お前、花野ちゃんとどうなりたいの?」

「…………話がしたいな…」

それ言うだけに、時間かけんな。
いろいろ考えたんだろ?…非現実的な欲望を。

「なら、話しかけろ。お前のアホ発言も流してくれたじゃねぇか。少しくらい変なこと言ったってあのコは大丈夫さ」

あの迷言、俺はしばらく忘れねぇけどな。

「アホ発言って、お前…。いや、俺は泣かさないかが心配なんだ」

「花野ちゃんはお前のこと、なんっとも思っていないから、お前なんかに泣かされない」

「ははっ、キッつ」

もっとキツいこと俺、言えるぜ?
花野ちゃんは、お前の弟と両想いだって…。
お前の将来の妹だって……。

「お前に告白してきた女のコたちの気持ち、少しはわかってやれ?話しかけるだけで、どんなに勇気のいることか」

「……」

お前に最低限の情操教育施してやろうってんだ、顔しかめるな、唇噛むな。

「呼びだしたけど、ドキドキして口も聞けないコに、"俺は忙しい"なんて間違っても言うな」

「……わかったよ」

「チョコ貰ったら、"手作り、キモ"じゃなくて何て言う?」

「ありがとうございます…」

シュンとしてつぶやく様子がおもしれぇ。

「ふふっ、ははははっ。嬉しそうに言えよ…」

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