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僕ら× 1st.

第8章 le journal --Ior,Ar

「兄貴、本物?…なかに柊兄が入ってるのか?」

隣に座る伊織は俺のセリフに驚き、背中にチャックがついてないかまで調べ始めた。
お前、ふざけてんのか?

「僕もお兄さんの意見に賛成です。この2人を信じています」

と、和波さんが片手を挙げて俺を支持してくれた。

「でもですよ?つきあうことで、成績がさがりやしないか……2人は入学以来、トップクラスですし。このまま維持して、いい大学へ行かせたくはありませんか?」

ステレオタイプな教師のよく言うセリフだな。
生徒が難関大に受かったら、この学校のレベルもあがるもんな。

"いい大学=いい就職=幸せ"の式は成りたたないと証明されているはずなのに。

「どんな進路を選ぼうと、花野は僕の大切な妹です。成績がさがるほど人を好きになってくれるのなら、それでかまいません。体育はこれ以上、さがりようがないもんな?」

あっは。
花野ちゃん、やっぱり体育は苦手か。

「うん……」

"うん"って……。

ため息をついた永井が、「くすっ」と笑った俺を見た。

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