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僕ら× 1st.

第8章 le journal --Ior,Ar

そのまま3人で格闘ごっこを始めていると、騒ぎに気づいた先パイがあきれた顔でやって来た。

「お前らは、犬ころか!」

甘い炭酸水ベットリな上に砂まみれの俺たちは、先パイにホースで冷たい水を勢いよくぶっかけられ、更に道場への再入場を拒否された。

真冬の深夜に水浸しになり徐々に寒さに感ずいてくるなか、兄ぃはクルマに俺たちを押しこんで、温泉まで連れて行ってくれた。

びしょ濡れの俺たちでも受付は通してくれるのかと柊と危惧していたが、兄ぃ個人所有の秘密の温泉宿だと言う。

この若い温泉所有者が一体何者なのかはわからないが、玄関を通らずに裏口からまわって即、露天風呂に入れた。

「ここ、彼女とよく来る?」

柊が見まわしながら尋ねる。

だよな。
ここで兄ぃが女といちゃついてるんだよな。
なーんか、嫌だな。

なのに兄ぃは即答した。

「彼女は1人も連れて来たことない」

え?ホント?
こんないい場所なのに?

「じゃあ誰と?」

「俺の家族。兄貴と妹」

「へぇ、兄ぃに妹いるんだ。ごつそう…」

だって兄ぃは身長187くらいだろ?
筋肉だってしっかりついてて体格すっげいいし。
そんな男の妹って……。

そして、妹と風呂に入るんだ…。
その妹がいくつかなんて、ここは聞いちゃいけない気がする……。
女に困らねぇ兄ぃが、妹に手を出すとは思えないけど。

柊と眉をひそめていると兄ぃは、「はっは」と笑った。

それに兄ぃが家族サービス?
そういや、兄ぃって暴力的なくせにわりと言葉遣いが柔らかいよな。
弁護士目指してるからかもしれねぇけど、でかくなった伊織みてぇだ。

きっと俺みたいに邪道なんじゃなくて、いいとこのボンボンなんだろな……。
じゃ妹は、多少男性的でも逆玉で大丈夫だなっ。

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