テキストサイズ

僕ら× 1st.

第20章 夏祭り --Hzm,Mkt,Ar,Kn

~宮石帆澄side~

祖父母の遺品を手に家に戻り、また普段の生活がやってくる。

マコちゃんたちと遊びに行くというハニィを駅に送って戻ってきた俺は、兄貴に呼び止められる。

大事な話があると言われてついて行ったのは、我が家の家令:白峯の書斎。

兄貴とともにソファに座る。

向かいに座った白峯は、「花野には、もう少し時間が経ってから伝えようと思ってるんだが」と話しだした。

「先に帆澄に話しておきたいことがある。とりあえず、この書類を見てもらおうか」

白峯は、俺の前に紙を広げた。
系図?

宮石家の系図には、俺とハニィが線で繋がっていた。

同じ両親から生まれた2人。
そんなのわかってる。
俺に釘を刺すつもりか?

いや、待てよ?

「兄貴は?」

「いないよ。俺は、ここ」

兄貴が示したのは別の用紙、母の実家:高梁の。
その線は、宮石に嫁いだ俺たちの母の妹からのびていた。

兄貴は兄貴じゃなかった?
ふうん。

「従兄……そか。だからって兄貴って呼ばせてもらうけど?」

「俺もお前は弟だと思ってるよ」

ニコッと兄貴は笑った。
その笑顔に何か含みがありそうで、俺は過去を振り返る。

幼い頃、両親について海外で暮らしていた俺たち。
兄貴だけ白峯と共に留守番が多いのは、宮石家を背負う男としての修行のためと勝手に思っていた。

兄弟じゃない。
だからって、血縁じゃないリィだって一緒に暮らしていたのに、何故兄貴は?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ