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俺のテンちゃん

第1章 8月20日


海に到着してレジャーシートを広げていると、テンちゃんの肩に掛けてあったスポーツタオルがヒラヒラと飛んで行った。

「あっ!」

「俺行くわ、待ってて」
スポーツタオルを追いかけて岩場の裏迄来ると、子供が3人居て岩の窪みを覗き込んで遊んでいた。



『ピンポンパンポーン
迷子のお知らせを致します。
緑色の海パンを履いた5才の男のお子さんを見かけましたら、お近く係員までお知らせ下さい。
繰り返しお知らせ致します。
─────
ピンポンパンポーン』



「君達!家族とはぐれてない?」

俺が声を掛けると、小3くらいの男の子と小1くらいの女の子は顔を見合せる。

「俺らん家あっこ」
っと言って木が生い茂って家なんか見えない方を指差した。

もう一人の1番ちっこい男の子が半べそかいてキョロキョロと挙動不審になる。

「アタル?タオル有った?」
テンちゃんが近付いて来て、到着する頃には挙動不審だった男の子は泣き出した。
「何泣かしてんの?」

「テンちゃん、あそこのライフガードのお兄さん呼んで来て」

「あぁ~…うん!分かった」

テンちゃんが駆けて行く…。
長い髪を靡かせて駆けて行く…。
ビキニのおっぱいをボヨンボヨン揺らして駆けて行く…。

アレじゃ~…テンちゃんじゃなくて…ラムちゃんだよ。

「テンちゃん…。」
俺は、俺のテンちゃんをボソッと呼んでみた─────



海から帰って─────。

「運転お疲れ様」
側まで来てほっぺにチューするテンちゃんをハグしてみた…。柔らかい─────

「流石に疲れたから…もう寝るね」
っと言って片付けも早々に寝た。だってテンちゃんモドキに手を出すなんて出来ない…。

テンちゃんゴメンさっきのチューはテンちゃんモドキからして来たヤツだからカウントしないで…。明日に成ったら元のテンちゃんに戻ってますように!!

祈りながら眠りについた─────


 

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