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雪に咲く花

第10章 深いきずあと

男たちが、厭らしく笑い、魔の手が身体中に触れる。
目の前に男のグロいものが次々と差し出された。
「いっ!いやぁぁっ!」
雪斗が悪夢にうなされて、目覚めると、カーテン越しに太陽の光が射していた。

「夢…か」
恐怖の時間が幻だったと分かりため息をつく。
「こんなに寝ちゃっんだ」
時計を見ると、12時を回ろうとしていた。

「うわっ!ひどい顔」
洗面所に向かい、鏡を見ると、瞼がはれあがっている。
昨日、涙が枯れるくらい泣きつくしたせいだ。
洗顔を終え、冷蔵庫にあるもので食事を適当に済ませると、再び部屋に戻った。
スマートフォンをのぞくと、亘からのメールが届いている。
『今日はこれから家庭教師のアルバイトだ。冬休み、あれだけ遊んだんだから、お前もちゃんと勉強しろよ』
「ちぇっ!一人前に教師ぶっちゃってさ」
つぶやきながら、スマートフォンについていたハートの片割れが目に入った。
昨日、佐々木に見つかり、踏みつけられたせいでやや変形していた。
いびつになったハートが、惨めさを物語っている。

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