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雪に咲く花

第5章 不幸中の出会い

「まあっ!雪斗いったいその服は何なの?」
家についたとたん、美桜が雪斗を見て呆気にとられていた。
見たことのないブカブカのジャンパーとズボンを身につけていたのだ。
「あの……」
隣にいた亘が口をはさむ。
「突然すみません。福原と言います」
挨拶をする亘を、美桜が軽く頭を下げて訝しげに見た。
「実は俺、今日掃除してたときに雪斗君の服汚してしまったんで俺の服に着替えてもらったんです。どうもすみませんでした」
亘の思いがけない言葉に雪斗が驚く。
なるほど、そういう話に持っていけば、あの服装でも不自然ではない。
改めて、亘の機転に尊敬のまなざしを向ける。
「そうだったんですか?わざわざありがとうございます。とにかく外は雪だしどうぞ一緒に夕食でも」
事情をのみこんだ美桜が亘を誘った。
「いや、外でタクシーを待たせてあるので失礼します。じゃあ雪斗君、またな」
美桜の誘いを断ると、亘は玄関を出て外に向かって歩いていった。

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