kiss & cry
第7章 x A 完全プライベート映像
O「でも記憶なかったとはいえさ、
お前、相葉ちゃんにアレはないと思うぜ?」
カットがかかってすぐに、相葉くんには
"ごめん!"ってまた謝ってきて。
心配するかのように体を起こしてくれた。
俺はといえば、そんな相葉くんを
力任せに思いっきり突き飛ばし・・・
『俺に触んな!二度と顔も見たくない!!』
相葉くんは悪くないのに。
この前に引き続き、公私混同の極み。
相葉くんはオシゴトをまっとうさせただけ。
全部、自分が悪い。
勝手に記憶飛ばして、勝手に舞い上がって、
なにより、……勝手に好きになって。
悲しそうな顔をした相葉くんが
ぼんやりと、でもすぐに思い浮かんでくる。
N「共演者を好きになるなんて、
最悪だ・・・・・。」
O「は?」
N「・・・・・ふぇ、ぅゔ・・・ 」
O「はぁ?今なんて・・・
っていうか!だぁあ!!!泣くなって!
もっと前もっていえばよかったな?
シラフの時にいえばよかったな?
ごめんな?辛かったな?
ああ〜!もぉおお〜……!!」
まるで小さい子をあやすように、
俺の頭をぎゅっと抱きしめて
ポンポンとあやしてくれる大野監督。
その肩にしがみついて思いっきり泣いた。
なんなら大野監督のシャツで鼻水も拭ってやった。
今日のことは、そして相葉くんのことは
もう忘れよう。
泣き止む頃には頭の中がクリアになっていて
自然とそう思えた。
早いとこ帰って、明日の撮影に備えなくちゃ。
こうして俺は、漸く帰路に着いた。
完全プライベート映像*撮了。