+クロス+
第6章 第6章
「早くあなたも逃げなさい」
聞き覚えのある声が聞こえた。
振り返ると……、
やっぱり…。
俺の後ろに立っていたのは果奈だった。
「間に合ったな」
俺は小さく呟く。
「いいえ。間に合ってないわよ。だから、あたしにはペナルティが与えられるの」
はあっ?
ペナルティ……?
「さっき言ってなかったけど、あなたは前回の『+クロス+』での優勝者よ。だけど、最後の最後で『+クロス+』のルールを破った。それで、あなたにペナルティが与えられた。覚えてない?」
「俺、『+クロス+』に参加したことないって…」
「まあ、そうね。無理ないわ。あなたに与えられたペナルティ、知りたい?」
「……ああ」
知りたい。
自分自身も知らない、
『+クロス+』
での俺の秘密を。