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テントの中でなんとやら

第2章 謎の生物

 まあまあの距離まで下がりやがった。

 この距離なら問題なかろう。俺は外に出て、すかさず構えた。

 かなり至近距離だが、どうやら女のように見える。

 膝までのスカートから、雨の滴が落ちる。どこまで濡れているのだ?

「あんた、誰だ?」

 俺はライトを照して、そう聞いた。

 灯りを照した先にいたのは、生きている気配がしない、血色の悪い顔をした女だ。

(こいつ……間違いない。この世のものではないな。貞子に呼ばれたか?)

 怖さはなかった。強そうだとも思わない。

 ただ、気色悪い。

 触りたくない。

 向き合いたくもない。テントに戻ろう。

「立ったままだと濡れるし、用がないなら……」とテントに戻ろうとした。





 なぜか、そいつが入ってきた。

「いや、違う! 濡れるからどうぞ入ってくださいって言ったんじゃない! なんで来る!?」

『な゜ん"』

「はぁ?」

 誰か助けてくれ。

 言葉がわからん。

「あ、あんた、俺の言ってることがわかるか? 喋らなくていい、頷くか、首を横に振るかで返事しろ」

『ま゜』

「喋るなってーの!」

 とりあえず、コミュニケーションを取り合おう。

 やや、この女は、目の焦点があってないが、おそらく俺を見ているのだろう。

 口からは、なんか、道端に死んでる動物と、同じ匂いがする。

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