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ラスト・ハート

第1章 絶望

イタイ....。
額と腕から血を流しながらヴァンは、心の中でそう思いながら自分の上にとっている何かをどけながら目を開け立ち上がった。

「え...。」

ヴァンが目を開け始めに目にしたのは、妹ルンが大量に血を流している姿だった。

「おい....。ルン....。」

ヴァンは、ルンを揺さぶりながら問いかけた。
しかし、ルンはピクリとも動かない。

「おい!!ルン!!」

ヴァンは、さらに強い口調で強く揺さぶり問いかけた。
だが、ルンはさっきと同じくピクリとも動かなかった。

「なんで....。」

ヴァンは、頭の中が真っ白になり何も考えられなくなり止まっていた。
その時だった。
ヴァンの頭の中で、魔王があの禍々しい魔法を放つときの光景がよぎった。


「お兄ちゃん!危ない!」

ガッ

「あの時....。ルン.....。お前...。俺を...庇って...。」

その光景は、魔王の魔法からヴァンを守るためにルンがヴァンに抱きつき、二人が体制を崩しルンがヴァンに覆いかぶさるようになる受胎までの光景だった。

「なんで.....。
ばっかじゃねえの....。
俺なんか....庇ってよ...。
冗談んじゃ...ねえよ....。」

ヴァンは、血だらけになったルンを抱き抱え静かに涙をこぼした。
その涙の雫は大きく、落ちた涙の雫がルンの頬をつたう。

「どうして...。
魔王は...こんな..ひどいこと..するんだ。」

ヴァンは、泣きながら空を見上げ言った。

「僕たち何をしたっていうんだ!」

ルンを強く抱きしめながら、
ヴァンは、空に向かって叫んだ。

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