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先生の秘密

第5章 ◎三角関係

「もう…やだ……ごめんなさい」
あたしはその場に座り込む。
どうしてはっきりできないんだろう。
どうしてどちらも好きになれないんだろう。
どうして、和樹と先生なんだろう…。
どうして…あたしなんかが想われてるんだろう…。
あたしは2人を傷つけることしかしてない…。
溢れる涙は止まってくれなくて。すると突然、頭に感じる冷たい感触。
…雨だ……。しだいに強く降ってきた雨。
でもあたしはその場を動かず、ただ濡らされていた。
ちょうど…この雨で涙も流されるかな…?
びちょびちょになる制服。
ママに怒られちゃうなぁ…。
まだ部活をしていた野球部員は、あまりの雨に練習を止めて引き上げている。
夏とはいえ、これだけ濡れると冷えてくる身体。
寒っ…。
ジャリッ、ジャリッ、
遠くから聞こえてくる誰かの足音。

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