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和樹が自転車のペダルをこぎ始めようとする。
えっ………。
１台の車から降りてきたのは先生。……と女の人。
前あたしにそうしてくれたように、助手席のドアを開けて女の人の手を引く。
……ドクン…
和樹も気づいたみたいで驚いている。
先生と女の人がこちらに歩いてくる。
「和樹っ…早く、行こう」
あたしは気づかれないために和樹を促す。
でも和樹は動こうとしない。
「野崎……？」
最悪…。気づかれた。
一瞬、時間が止まったような…。
てゆうか…あたしと和樹、と先生はただの生徒と先生。
それに先生に彼女がいてもおかしくなんかないし、コンビニだって利用したっておかしくない。
なのにこのどうしようもない気まずさは何なんだろう……。
「早瀬先生…こんばんはっ」
結構冷静にあいさつできた…？
「先生こんばんは」
空気を読んでくれたのか和樹も自然にあいさつをする。
「……よぉ、お前らこんな時間にコンビニは危ないから気つけろよー。」
何て先生らしいことを言う。
「……ここ行こう」
「うんっ……」
自転車を走らせる和樹。
でもあたしの耳には届いたんだ…
先生と一緒にいた女の人と先生の会話。
「爽の生徒さん？」
…"爽"と呼ぶ女の人はすごく綺麗だった。