無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「えっ…」

古賀が地面に倒れる。
何が起きたのかわからなかった。
ただそれは一瞬の出来事で、古賀はオレたちの目の前で光に包まれて消えてしまった。

「……一体、何が……」

呆然としていると、

「可哀想に…。雷神を召喚するには自分のＨＰと引き替えなのを彼は知らなかったのね」

つくし先生がボソリと呟いた。

「え…」

「しょうがないわよね、今は回復する術がなかったんだもの」

「……つくし先生はどうしてその事を？」

オレが問うと、つくし先生は不敵な笑みを浮かべた。

「それについても彼と一緒に話したいことがあるの。とりあえず結界は解けたみたいだし、喫茶トムに移動しましょう」

「……」

つくし先生の言う『彼』って、あの関西弁の男のことだよな？
なんだか急に、つくし先生の様子が変わったような気がする。さっき古賀に『最後に』って言ってたのも、まるで古賀が死ぬのをわかってたみたいな…。

「ひ、ひなたしゃん…。あっしら、これからどうなるんですかね…。あっしらも死んだら、ああやって消えてしまうんですかね……」

やんすさんが怯えている。
召喚魔法がＨＰと引き替えだったとか、プレイヤーに必要な情報を与えないやり方に、このアプリゲームには他に何か意図があるように感じてならない。

「……」

とにかくこの世界は謎が多すぎる。
だけど、きっとその謎の答えはあいつが握ってるはずだ。

オレたちは車に乗って喫茶トムへと向かった。