二人のキセキの物語 MN
第54章 遠距離の二人6 潤
ハッとしてポケットに手を突っ込む俺を
真剣な表情で雅紀が見つめる
モニターに出た名前は
「カズだ・・」
「ほらー、やっぱ俺って持ってるよねぇ~」
何故か得意満面の笑顔になる雅紀に苦笑しながら
モニターをタップする
「もしもし、潤?ごめんね、連絡できなくて」
ほんの数日声を聞いてないだけなのに
カズの甘い声が心地よく耳に流れ込むのが
嬉しくてたまらない
「いや?全然構わないけど」
安堵で泣きそうになるのをぐっとこらえて
殊更 何でも無さそうな声を出した
きっとカズも信じた筈だ
俺の芝居の中でも一二を争うデキだったと思うから