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地下アイドルの休日

第2章 夏休み申請

今年の夏はフルーティの歴史の中でも最悪的に忙しかった。異動距離だってハンパない。

ちなみに、フルーティはどんなに遠方のライブでも車で移動することが多い。器材だって運ばなければならないし。運転手もいるが、あまりに遠方で夜通し運転する時には女社長や免許歴1年のあやのんが交代で運転したりもする。

ちはるんも免許を取ろうと言い出したこともあるが周りに悪いことは言わないからやめておけと言われてしまった。本人は失礼なと怒っていたが、道路標識の意味が殆ど分からなかったり、普段のそそっかしい様子からすると周りの意見が正しいのかも知れない。

テレビに出るほど有名ではなくライブ中心に活躍している地下アイドルは同じように殆どの遠征を車で移動している人たちも多いが、最近は知り合いのアイドルの車が事故に遭ったり、突然高速道路で車が故障してしまったなんてこともあるので、自分たちの車が事故に遭ったり故障したりすることがなくて本当によかったと思う。

7月末には毎年N市という大都市の集客数500人を越えるという大規模かつ有名なライブハウスでワンマンライブを行うのが恒例となっている。

このライブハウスはテレビに出るような有名アーティストもライブを行う有名な箱で、500人のステージをほぼ埋められるアーティストでないとなかなか出させてもらえない。100人、200人、300人の客が集まるというのはスゴいことなのだが、それでもこのライブハウスからするとお呼びでなくなるのだ。

それが、7月と12月に恒例となっているワンマンライブはこのライブハウスからオファーが来るようになって、しかも回数を増やしてくれとオファーしてきたり、小ステージでのライブなら月に何回か出演させてもらえるのはフルーティとしても名誉なことである。

そのワンマンライブの準備がこれまた忙しい。ワンマンライブにはフルーティスピリッツバンドも参加してくれて、最初から最後までを生演奏をバックに歌うという豪華なものであるのだが、スピリッツバンドは普段は東京で活躍しているので、準備期間はN市と東京を行ったり来たりで移動距離はもう尋常でない。

ワンマンライブでは新曲を発表するというのも恒例となってきているので、その練習や音合わせも大変なことだ。

しかもその間にもビアガーデンなどの仕事がちょこちょこ入っている。

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