イジワルな彼女。
第9章 縁-エニシ-
自宅に着くまで、
僕はひたすら考えをまとめようとした。
あの駅で目撃したのが唯さんなら、
唯さんも僕と同じ沿線を生活圏にしている
可能性が高い。
もちろん大野さんが使っている地下鉄を
唯さんも使っている可能性もあるが、
それだと僕が初めて唯さんに出逢った日…
唯さんは何故あの道に居たのだろうか?
頭を悩ませたまま、玄関のドアを開ける。
「…ただいま」
リビングでそう呟くと、
「おかえり。…ご飯食べるよね?」
母親の声がした。
「うん」
僕は自分の部屋に入り
リュックを床に置くと、
1回深呼吸をしてから部屋を出た。
夕飯を食べ終えると、
僕はソファに移動した。
今朝の様子から、母親と一緒の時は
唯さんのことを考えるのは
辞めた方がいいと判断し
僕はTVを見ながらスマホを弄っていた。
母親は特に何も言ってこなかった。
ただ、僕の帰りが少し遅くなったので
ピリッとした空気を感じていた。
僕はその空気になんとか耐え、
シャワーを浴びてようやく自室に戻った。
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