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イジワルな彼女。

第10章 翼-ツバサ-


放心状態の僕は、
そのままソファに座り込んだ。
すると、亮太も僕の隣に腰をおろす。

「それ、今の悠」

「?」

「今キャップ開けたら、一気に中身が
溢れちまうだろ?でもお前は
それが恐くて、開けずに閉じ込めてる。
でも、もう開けるしかないんだよ!
だって、出会っちまったんだろ?
今開けずにいつ開けんだよ!
それとも、そのまま炭酸が落ち着くのを
黙って待つのか?」


僕は亮太から受け取ったペットボトルを
ただ見つめている。

「悠…もう分かってるよな?」

「………あぁ」

僕は立ち上がり、
リビングの窓を開けてベランダに出た。
そして、まだ泡立ったままの
ペットボトルのキャップを回す。

プシュー!

ペットボトルから勢いよく中身が溢れる。
頭や顔にも炭酸が飛び散ったが、
そのまま僕はリビングの亮太に向かって
こう叫んだ。

「あーあ!
とうとう亮太のアホが、
俺にも感染っちゃったわ!マジ最悪!」

「バーカ!
んなこと言って、ほんとは最高だろ?」

亮太も僕も、
しばらく笑いが止まることはなかった。

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