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本気になんかならない

第21章 古りゆくもの

俺が痛みにたえるように目を細めるあいだも、
小浜さんは勢いよく口を動かす。
話の半分を俺は聞いていなかったように思う。

「……で、はっきり宮石君に言うつもりだったのに、
いざ本人を前にすると、言いだせなくて。
つい元カレに言われたような曖昧なこと言っちゃったって」

「元カレ?」

そこで、まばたきを繰りかえすと、痛みは徐々に和らいだ。

「1年の時につきあってた陸上部の先パイ。
人気あったんだよ?
ハイジャンが得意だったかな?

先パイ卒業と同時に別れた感じ。
すっごく仲良かったのにね」

「ふうん。そうなんだ」

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